大分大学医学部附属病院救命救急センターでは、2012年10月1日からドクターヘリの運航を開始しました。
ドクターヘリとは、患者様に救命医療を行うことのできる救急専用ヘリコプターのことです。救急医療に必要な医療機器及び医薬品を装備し、救急医療の専門医師や看護師が搭乗し、救急現場に向かい、迅速に処置および治療を開始します。この治療開始までの時間短縮の意義が最重要で、命をつなぎとめます。
更に、最適な治療を継続しながら、現場等から医療機関までの搬送時間をも短縮することで、継ぎ目なく高度医療を提供します。
へき地、離島、中山間地など医療資源が乏しい地域における救急医療体制の充実、また、災害時の医療救護活動の充実を図ることも踏まえ、救命率の向上および後遺症の軽減を目的とし、大分県が導入しました。
県内を20分以内で網羅。
広域治療を可能に
最大の特徴は機動力です。ドクターヘリは、要請から約2分で飛び立ち、時速200kmから250kmで現場に直行します。50kmを15分で移動し、救急車(同距離を60分から90分)と比べ、スピーディーな対応が可能となります。運航基地が、大分県の”へそ”に位置しているため、県内で最も遠い場所でも20分以内でカバーします。
県北西部では、すでに福岡県ドクターヘリとの共同運航が行われており、大分県ドクターヘリの導入により、大分県防災ヘリとあわせて、県内はヘリ3機での”空の救急体制”が構築されました。
ドクターヘリによる救護を受ける患者の救命救急効果は非常に高いと言われています。大量出血の重症外傷患者は、約30分で50%が死亡。
また、受傷から医療機関での決定的治療が行われるまで60分が経過すると、救命の可能性が限りなく0になるとのデータがあります。
2002年度、ドクターヘリが対応した交通事故の負傷者474人の追跡調査をしたところ、ドクターヘリの導入により、治療開始時間が27.2分短縮され、もしドクターヘリがなかったと仮定した場合に比べて、死者は40%減、社会復帰のできた人は1.6倍となっています。
運行開始日 | 平成24年10月1日 |
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機種 | 川崎BK117 C2(乗員7名) |
運行時間 | 運行時間は、原則として、毎日(土日・祝日を含む)午前8時30分から日没まで。夜間及び悪天候時は運行不可ですが、ドクターカー等による対応は可能です。 |
医療スタッフ | 医師1名、看護師1名、もしくは医師2名 |
搬送可能患者数 | 原則としてストレッチャー搬送1名 |
搭載機器 |
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実は、ドクターヘリが飛べても車の方が有利という局面が現場では以外に多いこともあります。
代表例としては、直近のランデブーポイントが現場とかけ離れているといった場面。
この場合、ドクターカーで現場に向かう方がタイムロスを排除することができます。
積極的に病院前救急医療に取り組んできた高度救命救急センターでは、ドクターヘリを病院外医療チーム派遣の新たなる
手段として位置づけ、今後はドクターヘリとドクターカー
それぞれのメリットを活かした運用をしていく方針です。