大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター

専門医ドクターインタビュー

専門医で入局した鍋田先生の
今までと、これからに向けての思いを取材しました。

大分大学医学部附属病院高度救命救急センター
医師 鍋田祐介

現在の仕事についてお話を伺いました

Q.鍋田先生の現在のお仕事について教えてください

救急医として高度救命救急センターに勤務しており、今年で8年目になります。
仕事は、入院した患者さんを管理する病棟勤務がメインですが、外来で救急車の対応を担当する日もあれば、ドクターヘリに乗って現場に行く日もあります。

Q.一日の流れやワークバランスについて教えてください

病棟担当のときは、カンファレンスが朝の7時半から始まるので7時すぎには大学に来ています。
まず夜勤の先生からの申し送りがあって、患者さんの現状を話し合い、他の科の先生のお話を聞きながらカンファレンスで治療方針を決めていきます。
次に看護師さんとの申し送りがあって、センター長が中心となって回診します。

午後からは検査や処置を行い、薬の管理をしたり、患者さんのご家族とお話したりします。
夕方のカンファレンスを終えたあとは、カルテ記録などの事務書類を作成していることが多いですね。
昼間は患者さんのことをメインにしているので、どうしても残務処理的なものが夕方以降になってしまうんです。

夜勤は月に2〜3回ほど。シフトの関係もありますが、だいたい土日にお休みを頂いています。私の休日は、洗濯から始まるんですよ(笑)
私が洗濯をしている間に妻が出かける準備をして、二人で買い物や映画を楽しんでいます。
忙しい仕事ですが、オンとオフをしっかり切り替えられているのは、高度救命救急センターのひとつの強みだと思います。

Q.医師、そして救命救急医療に携わることになったきっかけはなんですか?

私にとって「病院」は、昔から身近な場所でした。
低体重児として生まれた私は小さいころは身体が弱くて、風邪を引きやすかったり、病院にかかることが多かったんです。自分だけではなく兄も病気がちだったり、祖父が倒れたりと、家族がお医者さんのお世話になっているのを見ているうちに、気がつけば「自分もこんなふうに人の役に立つ仕事がしたい、医者になりたい」という気持ちが生まれていました。

私の場合は家族に医者がいるわけではないので、専門のことが何もわからない状態で医学部に来ました。子どものころ病院のお世話になっていた思い出があるので、当初は小児科も選択肢にあったんです。ただ、自分は将来どんな医者になりたいかを考えたとき、目の前で誰かが倒れたのを見て何もできない医者になるのは嫌だと思ったんです。
その想いを突き詰めて行き、救命救急に辿り着きました。大学3年生のころだったと思いますが、それからずっと救命救急一筋ですね。

Q.救命救急医として辛かったことはありますか?

年に数回、心肺停止で運ばれてくる患者さんの中に原因がわからないことがあり、命を助けられなかった患者さん、意識が戻らずに植物状態になってしまった患者さんもいます。
例えば若い患者さんだと、親御さんが非常に悲しんでおられますよね。そこにどういう言葉をかければいいのだろうと、助けられなかった患者さんや遺されたご家族を見ていると、無力さを感じます。重症の患者さんに最前線で関わっているからこそ、他の科よりも辛い思いをすることは多いと思います。

でも、そこで終わりにするのではなく、助けられなかった患者さんのことを忘れず、未来に繋げていきたいと思っています。この患者さんはなぜこういう状況に陥ってしまったのか、他にできることはなかったのかを考え続けて、勉強をして、次に同じような患者さんが来た時は助けられるようにという気持ちを、日々のモチベーションにしています。

嬉しかったこと、心に残っているエピソードはありますか?

救急に運ばれてくる患者さんは重症なので、身体中に様々な管がついていたり、意識がなかったりするんです。
そんな患者さんが少しずつ回復していって、一般病棟やリハビリの病院に移っていくときは嬉しいですね。

病棟にいるときでも、話せる患者さんは感謝を伝えてくれることが多いので、患者さんやご家族から「ありがとう」「先生のおかげでここまで回復しました」と言ってもらえたときには、一番の喜びを感じます。

やりがいは 患者さんやご家族からの言葉

救命救急は人の生死をもっとも身近に感じる分野なので、非常にやりがいを感じています。
何十年も付き合う町のお医者さんやかかりつけ医と違って、救急医が患者さんと接する期間は短いものです。
でも、患者さんの命を助けて、次のステップにつなげていくのが私たちの仕事。

リハビリの病院や一般病棟に患者さんを送り出せるようになると嬉しいし、「がんばってよかった」と心から思います。
でも、私たち以上にがんばっているのは患者さん。
私は医療者として、少しでも患者さんを手助けをしていきたいと思っています。

高度救命救急医を目指す方、学生に向けてのメッセージをお願いします

医療特番やドラマで、救命救急の現場を目にする機会があると思います。
忙しさとやりがいがうまいこと表現されていますが、実際の現場も同じように、楽しいと感じる瞬間もあれば、辛いこともたくさんあります。
ただ、辛さや忙しさの中でも、最前線で患者さんと接することができるのが救命救急。他の科では味わえないやりがいを感じられると思います。
それから災害時に現地に行って治療を行う「DMAT」など、特殊な分野を経験できるのも救命救急ならではですね。

救命救急で基本的な診療や全身の管理を学んでから他の科に行くと、全体の医療レベルが上がっていくと思うんです。
他の科を専門にすると決めた人でも、ぜひ一度は、救命救急を学んで欲しいと思ってます。
飛行機や電車で、「お医者さんはいませんか」と言われたときに、真っ先に手を挙げられるような医師になってください。
救命救急を学んで、損をすることは絶対にないですよ。

今後の目標を教えてください

今は救急の他に何を専門に選ぶかを考えているところで、循環器内科や消化器内科など、何らかのスペシャリストになりたいと思っています。ただ、次の専門を決めたとしても、救急から離れるつもりはありません。私の医師人生には「救急」がベースにあり続けると思っています。
救急医として次のステップでは、より重症な患者さんを診られるような集中医療や、災害医療をしっかり身につけていきたいですね。

大分県はまだ救急医療の歴史が浅いので、礎を作っていけるようにがんばっていきたいと考えています。
それから、若手の先生をたくさん集めてしっかり育てていくことも必要です。嬉しいことに、ドラマ「コードブルー」などメディアの影響で、救急医に興味を持ってくれる人が増えた印象はありますね。
これからも学生さんや研修医の先生に救急医療の面白さを伝えていって、一緒に働く仲間を増やしていけたらいいなと思っています。 

INTERVIEW
MOVIE

鍋田先生のインタビューを動画でご紹介しています。


INTERVIEW

  • 松村 卓哉 | 國武 直人 | 髙畑 絢子
    大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター
    救命救急科 専攻医
    松村 卓哉 | 國武 直人 | 髙畑 絢子

    (2023年掲載)

  • 池邊 茉莉
    大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター
    救命救急科 専攻医
    池邊 茉莉

    (2022年掲載)

  • 古荘 侑穂
    大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター
    救命救急科 専攻医
    古荘 侑穂

    (2022年掲載)

  • 姫野 智也
    大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター
    救命救急科 専攻医
    姫野 智也

    (2022年掲載)

  • 森 由華
    大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター
    救命救急科 専門医
    森 由華

    (2022年掲載)

  • 梅津 成貴
    大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター
    救命救急科 専攻医
    梅津 成貴

    (2021年掲載)

  • 松本 祐欣
    大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター
    救命救急科 専攻医
    松本 祐欣

    (2021年掲載)

  • 塚本 菜穂
    大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター
    塚本 菜穂

    (2018年掲載)

インタビュー いのちの最前線で働く先輩たちのホンネ!