現在の仕事についてお話を伺いました
今は、3つの業務があります。ドクターヘリやドクターカーなどを用いて救急現場の重症患者さんへ医療を行う病院前救急医療、もう1つが重症の患者さんを病棟で呼吸・循環管理する病棟業務、そして手術患者さんに対する麻酔業務の3つが大きな仕事となっています。
この中で現在比重が大きいのは病棟における集中治療管理ですね。
朝は7時半から、前日の患者さんの病態の変化からその日の治療方針などを話し合うカンファレンスから始まります。9時になると病棟で看護師さんとの合同カンファレンスがあり、患者さんにどういう看護や医療を提供したらいいのかを看護師さんと共有する機会を設けています。
その後は教授回診、カンファレンスで決定した患者さんの治療をひとりひとり進めていきます。
夕方にもう一度カンファレンスがあり、夜勤務の方に引き継ぎして、1日の業務が終わります。帰宅するのは大体19時ごろですね。
帰宅後は趣味のテニスを楽しんだり、温泉巡りをしています。
家にいるときも長めの入浴で読書をして、日中が忙しい分、夜はゆっくり休んでリラックスするという生活を送っています。
当直明けは原則休みなので、当直明けにそのままテニスと温泉に行って、家に帰ると疲れ果ててバタッと寝たりしています。
医師を志したのは高校3年生のときです。実はずっと弁護士を目指していたんですが、弁護士の仕事って自分が「黒」だと思っていても「白」にしないといけないことがありますよね。
その葛藤を考えると、「命」というかけがえのないものを救う医師の仕事が、自分の理想としている使命感に合っていると思ったんです。
「救命医になろう」と決めたのは、ここの高度救命救急センターで研修したときです。ドクターヘリに乗ったとき、「ここが命の最前線なんだ」という緊迫感をひしひしと感じました。
そして、ドクターヘリに乗っている先生たちがひたむきに命に向き合っている姿を見て、「僕もこんなカッコいい医者になれたらな」という思いを持ち、志望しました。
助けられなかった命があったとき、「もっとこうすればよかったんじゃないか」と、自分の未熟さを感じます。そういうときは、やっぱり辛いですね。
僕が医師になって、最初に亡くなった患者さんが「私にとって死はそんなに悲しいものではない」と言っていたのがすごく印象に残っています。結果的には亡くなってしまったんですが、患者さんが自分の死と向き合ったり、家族とゆっくり話す時間を医療が提供できたんです。「死」は医療の敗北ではないのかもしれないと思いました。
やっぱり、患者さんが回復した姿を見るのが嬉しいですね。
最初は意識が朦朧としていて会話もできなかった状態の患者さんが元気に歩けるようになって、「先生のこと覚えてますよ」って言ってくれたり、手紙をくれたり。
私たち救急医は急性期の患者さんしか診ないんですが、転院して行った患者さんが回復して元気な姿を見せに来てくれるのは本当に嬉しいです。
「救命救急医療」は命の危険性が高い場所です。
事故や怪我、病気と様々な原因がありますが、患者さん生死と頻繁に向き合うことになります。
全力で命を助けないといけないし、
患者さんを救いたいという思いが強く湧いてくる瞬間がモチベーションにもなります。
「命を救う」ということ自体が、大きなやりがいだと思います。
高校3年生のとき、職業体験で地域の病院で実習させてもらったんですが、そのときに「地域の医師」はすべてを診るジェネラリストだなと感じました。専門科があったとしても、地域に貢献している先生方はすべてを診ていける医療知識をお持ちなんですよね。
自分もそういう先生たちのようなジェネラリストに、5年後、10年後には救急科専門医として地域を一助できる一員になれたらと思っています。
専門医、梅津先生のインタビューを動画でご紹介しています。