この度、大分大学医学部救急医学教授、および附属病院高度救命救急センター長に着任いたしました、安部隆三と申します。
私は、千葉大学医学部の学生だった頃、救急集中治療医学講座の講義や実習、医局説明会で初代教授の強い信念に感銘を受けたことがきっかけで、救急医療・集中治療に取り組むことになりました。
当時、初期臨床研修はありませんでしたので、医師1年目に救急集中医療医学教室に入局して以来23年間に渡って、関連病院や海外での経験も積みながら救急医療に携わってきました。
私が福岡出身だったこともあり、九州の地にある大分大学救急医学講座、高度救命救急センターへ、この度ご縁をいただきました。
救急医学・集中医療医学は、”最重症で命にかかわる患者さんの診療”という意味において、発生場所や障害された臓器にかかわらず患者さんの救命を目指す取り組みであり、そこに使命感と意義を感じています。
臓器別の診療のみを行っていては、助かるはずの命も尽きてしまうケースが生じます。生命の瀬戸際にいる患者さんの前で臓器別診療科の枠に囚われず、「どの臓器であっても、生命に関わる病態は私たちの専門分野である」という強い思いを持って全力で取り組んでいます。
医療が日進月歩で進化する一方で、社会構造が大きく変化している今、救急医療へのニーズは明らかに大きくなっています。すなわち、救急科専門医は社会から求められています。
さらに大分県では、救急科専門研修期間の3年間、病院からの給与とは別に月額15万円が貸与される救急科医師研修支援制度が2022年に開始されており、県を挙げて救急医の育成に取り組むほど、救急医が渇望されています。
救急科専門医として1人1人に最適なキャリアプランを設計・実現しながら、そのやりがいを学生や研修医に伝えることで、より多くの救急科専門医が誕生し、活躍する将来を実現したいと考えています。