センター長あいさつ

大分大学医学部付属病院高度救命救急センター
センター長、安部 隆三のご挨拶を掲載しています。

大分大学医学部附属病院高度救命救急センター センター長 安部 隆三

生命に関わる病態は私たちの専門分野

略歴

1999年 千葉大学医学部卒業
千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学 入局
千葉大学医学部附属病院・関連病院にて救急科、集中治療科、外科の修練
2006年 千葉大学大学院医学研究院 博士課程修了
2006年 千葉大学医学部附属病院 救急科・集中治療部 助教
2009~
2011年
米国イェール大学医学部 外科学 postdoctoral fellow/associate
2012年 千葉大学医学部附属病院 救急科・集中治療部 助教
2015年 千葉大学医学部附属病院 救急科・集中治療部 講師
2020年 千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学 准教授
千葉大学医学部附属病院 集中治療部長
2021年 千葉大学災害治療学研究所 教授
2022年 大分大学医学部救急医学 教授
大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター長

この度、大分大学医学部救急医学教授、および附属病院高度救命救急センター長に着任いたしました、安部隆三と申します。

私は、千葉大学医学部の学生だった頃、救急集中治療医学講座の講義や実習、医局説明会で初代教授の強い信念に感銘を受けたことがきっかけで、救急医療・集中治療に取り組むことになりました。
当時、初期臨床研修はありませんでしたので、医師1年目に救急集中医療医学教室に入局して以来23年間に渡って、関連病院や海外での経験も積みながら救急医療に携わってきました。
私が福岡出身だったこともあり、九州の地にある大分大学救急医学講座、高度救命救急センターへ、この度ご縁をいただきました。

救急医学・集中医療医学は、”最重症で命にかかわる患者さんの診療”という意味において、発生場所や障害された臓器にかかわらず患者さんの救命を目指す取り組みであり、そこに使命感と意義を感じています。
臓器別の診療のみを行っていては、助かるはずの命も尽きてしまうケースが生じます。生命の瀬戸際にいる患者さんの前で臓器別診療科の枠に囚われず、「どの臓器であっても、生命に関わる病態は私たちの専門分野である」という強い思いを持って全力で取り組んでいます。

どんな場所にでも、最適な救急医療を確実に

大分県下唯一のドクターヘリを
最適医療に活かす

大分大学医学部附属病院は、2008年に厚生労働省より救命救急センターの指定を受け、2012年より大分県で唯一のドクターヘリ基地病院となりました。県内どこへでも医師・看護師がヘリコプターで向かい、病院前で診療を開始したうえで搬送することができます。
稼働から10年を迎え、ドクターヘリを機能的に運用して県内全域に救急医療を提供する仕組みが構築されています。

しかし、救急医療を必要としている人はそれぞれ事情も病態も異なり、1人として同じ例はありません。
救急医療には、目の前にある医学的問題のみならず、社会的な問題を含めた個別の事情も考慮しつつ、あらゆる意味で最良・最適の医療を届ける役割があります。

どんな場所にでも、最適な救急医療を確実に提供できるよう、高度救命救急センター一丸となって取り組んでいます。

地域それぞれの課題を認識し
救急医療の可能性を広げる

昨今、”救急患者の受け入れ不能”が全国的に問題視されていますが、救急医療が抱える課題は地域によって大きく異なります。
大分県内を見ても、大分市や別府市のように、病院数は多いがタイミングによって受け入れ不能が発生する市街地エリアがある一方で、救急車が到着するまでに時間を要して状態が悪化してしまうような、郊外・過疎地エリアもあり、県内に全く異なる課題が同時に存在しています。

救急医療の課題解決には、地域ごとの地理的条件や社会的要素の違い、それらから来る問題点を正確に把握しながら、対応や対処を考えることが重要です。
消防や行政、医療機関同士が連携し、対話を重ねてフィードバックをもらいながら、地域の救急医療が抱える問題を解決に導けるよう取り組んでいます。

“一秒でも早く患者さんを元気に!”

救急科専門医をより多く、より身近に

九州は、救急科専門医数が少ないという問題を有しています。
中でも、大分県で登録されている救急科専門医は43人(2022年8月時点)程度であり、しかも、実際には救急医療に関わっていない方もおられるという実情があります。

背景にはさまざまな要因があるでしょうが、診療科としての救急科の歴史が短いこと、そして人数が少ないが故に救急科専門医の役割が確立途上であるという面があると思います。
その結果、学生や研修医は救急医療に興味があっても、ロールモデルとなる先輩が身近にいないため10年、20年後の将来像を明確に描きにくく、救急科を選択しにくいということになっているかもしれません。

昼夜を問わない救命救急医療に対するイメージから、「救急科は若いからできる仕事」と誤解されることがありますが、そうではありません。実際はオンとオフの切り替えが可能なシフト制で柔軟な勤務が可能ですし、年齢を重ねながらやりがいを持って活躍している医師が全国にいます。生涯、熱意を持って救急科専門医として働き続けるロールモデルが、今まさに確立されている過程にあると思います。

医療が日進月歩で進化する一方で、社会構造が大きく変化している今、救急医療へのニーズは明らかに大きくなっています。すなわち、救急科専門医は社会から求められています。
さらに大分県では、救急科専門研修期間の3年間、病院からの給与とは別に月額15万円が貸与される救急科医師研修支援制度が2022年に開始されており、県を挙げて救急医の育成に取り組むほど、救急医が渇望されています。
救急科専門医として1人1人に最適なキャリアプランを設計・実現しながら、そのやりがいを学生や研修医に伝えることで、より多くの救急科専門医が誕生し、活躍する将来を実現したいと考えています。

チーム体制で大分の救急医療を担う

救急医療の目標は”患者さんが元の生活を送れるまでに回復すること”です。発症・受傷直後の応急処置をして次に引き継ぐのが救急医の役割ではありません。
病院到着前に診療を開始する時点から、ERやICUでの治療戦略を考慮しながら活動し、ER到着後には的確な診断と根治治療,そしてICUで各種人工補助療法を駆使した集中治療を行って,最終的に機能を回復し元気に退院してくれるところまでを,一貫して担当します。

医師の仕事は、診療、教育、研究の三本立てです。それらの活動すべての原動力となるのは、『目の前の患者さんを何とか救命したい』という思いでしょう。
その実現のためには、診療科や職種の枠を越えた救命救急診療チームが一体となって診療を行うとともに、チームの皆がスムーズに知識・技術を習得していける教育体制が必要です。そして臨床で生じた疑問を解決するための研究を一歩ずつ進め、その研究成果を臨床に適用することが、目の前の患者さんを救命したいという思いの実現につながっていくと思います。
同じ方向を目指して思いを通わせ”一秒でも早く適切な治療を!”そして”目の前の患者さんを元気に!”と共鳴できるチームを構築して、私たちは大分県の救急医療の更なる向上を目指します。

より多くの救急科専門医が誕生し 活躍する将来を実現

私は、千葉大学医学部の学生だった頃、救急集中治療医学講座の講義や実習、医局説明会で
初代教授の強い信念に感銘を受けたことがきっかけで、
救急医療・集中治療に取り組むことになりました。

救急科専門医として1人1人に最適なキャリアプランを設計・実現しながら、そのやりがいを
学生や研修医に伝えることで、
より多くの救急科専門医が誕生し、活躍する将来を実現したいと考えています。

いのちの最前線で働く先輩たちのホンネ!