専門医ドクターインタビュー

いのちと向き合う先輩たちからみる
高度救命救急とは?

INTERVIEW09
目の前の人の力になる
大分大学医学部附属病院高度救命救急センター
救命救急科 専攻医 池邊 茉莉

現在の仕事についてお話を伺いました

Q.池邊先生の現在のお仕事について教えてください

初期研修が終わって4月に入局しました。現在3年目で、救命救急センターICU病棟管理がメインの業務ですが、外来やヘリにも乗らせてもらうこともあります。

Q.一日の流れやワークバランスについて教えてください

7時半から始まるカンファレンスの前に出勤して、まず情報収集を行ないます。夕方まで病棟にいますが、まだわからないことだらけなので、気づけば1日があっという間に終わっている感じですね。
夕方のカンファレンスがあって、日勤帯でのカルテなどやり残しがあれば、少し残業もします。
帰宅した後は、ほぼ寝ています。基本寝るのが好きなので。楽しみといえば、Youtubeを観るくらいかな。
仕事は完全にシフト制なので、オフの日は呼び出されることはないですし、実家に帰って犬と遊んだりしています。

Q.医師、そして救命救急医療に携わることになったきっかけはなんですか?

高校卒業後の進路を考えなければいけないタイミングで、医療というか、いわゆる『人が倒れているときに介入できるのが医者だけ』と知ったんです。母が介護の仕事をしていて、「目の前で人が亡くなってしまうのに、何もできないのがもどかしい」といった話を聞くこともありました。そして医師になればそれができる、というのが逆にスゴイと思ったんです。
ただ、本当は小学校の先生になりたかったんですよ。文理専攻や必須教科を真剣に考えてこなかった結果が今…ですね。どんな仕事もスゴイですけど、選択できる進路の中で「もし自分ができるなら」「チャンスがあるならやってみよう」という思いで今まで来ました。

救命は、結局どの科もかかわりとつながりがあるところに魅力を感じて選びました。初期研修時の病院で救急のかかわりが多かったのもありますが、重症の人が来れば来るほど何もできないんです。自分のふがいなさを一番感じて、ただそこにいるだけではなくて、しっかり勉強したいと思いましたね。
集中治療という分野の先生がいらしたり、各科で集中治療の担当になれば診ることはあっても、それを軸に学ぶことはなかったので、3年間はしっかり学ぼうと思って飛び込んだという感じです。
初期の救急の先生が「その人がこの先どうなるかがわからないと結局は入院の判断もできんのよね」と言った言葉は、きっかけとして大きかったかもしれません。

Q.救命救急医として辛かったことはありますか?

状態の良くない人が挿管されることが多いですし、実際に挿管されるのが果たして良かったのか…と考えることもありますね。
命を助けるための治療だけれども、患者さん自身にとってプラスなのか。もしかしたらマイナスなのか…それはわからないので。
患者さんにとっていい方向に向いたら良いなと思いつつ、結果論ですからね。やってみた先の話になるので、常にプラスになって欲しいという気持ちでいますね。

Q.嬉しかったこと、心に残っているエピソードはありますか?

救命に限らずいろんな科の先生が携わっているので、管理などの勉強になりますし、重症な患者さんを目の前にしているので、元気になって歩いて帰っていく姿をみると喜びを感じますね。

やりがいは 「 実際に考えて指示を出すこと。

一緒に働く先生たちが本当に優しくて、
毎日助けていただいてばかりです。
私は3年目ですが、ICU病棟全体の管理をやらせてもらっていて、
実際に考えて指示を出さなければならない立場なので。
そこにやりがいを感じつつ、逆に怖い部分でもありますね。

高度救命救急医を目指す方、学生に向けてのメッセージをお願いします

初期だからこそ、いろいろと聞けることのメリットは大いにあると思います。医学生といえど、誰でも最初はわからなくて当然なので。
そして、歳を重ねていくとチャレンジがどんどんしにくくなりますしね。「いろいろやれるのならやらせてください」と言えるほうが後々のためになるだろうなと思います。私はもっとやっておけば良かったな…と思っています。

今後の目標を教えてください

目の前の人の力になれたら良いな、と思います。ちょっとでも医師という職業を通して人の力になれたらと思っています。

MOVIE

専攻医の一日を動画でご紹介しています。


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いのちの最前線で働く先輩たちのホンネ!